初恋グラフィティ
「ユキちゃん…?」
私は視力が弱かったし、今日はマスカラなんかもつけていたから、最初は自分の目が見えにくくなったのかなと思った。
けど、
私が好きな人を見間違えるはずもなく、
私は控室の中へ入ると、袴姿のユキちゃんにたずねていた。
「どうしたの…?そんな格好して…」
「ああ…」
ユキちゃんがそう言ったとき、
ちょうどドアがバタンと開いて、ジーンズにブルゾン、肩にはいつものバッグという普段着姿の恭平さんが入って来た。
「おー、志保ちゃん。準備できたんだ…?」
恭平さんはドアを閉めると、私を上から下までじろじろ見つめて微笑んだ。
「へー、着物姿もいいねえ」
「恭平さん…?あの、早く着替えないと式始まっちゃうんじゃ…」
私がそう言うと、彼は首を横に振った。
「俺、着替えないよ」
「え…?」