初恋グラフィティ
「志保、ちょっと聞いてくれる…?」
ユキちゃんはハンカチをテーブルの上に置くと、軽くソファに座り直し、穏やかな調子で話し始めた。
「志保さ…、前、俺にずっと側にいるって約束してくれたことあったよね…?」
「あ…、うん…」
守ることはできなくなってしまったけど、あの約束なら私だってよく覚えてる。
だって、あれから私達付き合うようになったんだもん…。
ユキちゃんは昔をなつかしむようにゆっくり続けた。
「志保があの約束してくれたとき、俺かなりしんどい状況にあって、志保の気持ちにすっごく支えられたんだ…。志保、私がユキちゃんの悲しみも苦しみも全部背負うからって言ってくれて…、あのときはホント嬉しかった」
「ん…」
私の胸にも、あの日の思い出とともに熱いものが込み上げてきた。