初恋グラフィティ
19 単なる落書き
その後。
恭平さんは式には出ないと帰ってしまい、
私は控室で化粧を直してもらってから、ユキちゃんと一緒に神社の大拝殿へ移動した。
重い扉の向こうに入ると、大幅に遅刻したにもかかわらず、
進行係の典儀さんに斎女さん、BGMを奏でてくれる演奏家の他、
私の両親とユキちゃんの両親、更に両家の親族数人が笑顔で私達を待っていてくれた。
この日のために恭平さんとユキちゃんが裏で動いてくれてたんだと思うと、
また少し泣きそうになった。
とりあえず私とユキちゃんが案内された位置につくと、
静かに斎主さんが入って来られて、ようやく私達の結婚式が行なわれた。
時折流れてくる雅楽の音に包まれて、それはそれは厳かに進められた。