初恋グラフィティ
〔ゆきちゃんだいすき〕
そう書いてひとりにんまりしていると、
いつの間にか右側にユキちゃんが立っていて、中腰の姿勢でそれを覗き込んでいた。
「何書いてんの?」
「えっ…?」
「ゆ、き、ちゃ、ん、だ、い、す、き…?」
いきなりユキちゃんがそれを声に出して読んだので、
恥ずかしくなった私はあわててその文字を手の平で消そうとした。
「気にしないで…!これは単なる落書きみたいなもんだから…!」
けどユキちゃんは私の横に同じようにしゃがむと、私をからかうように言った。
「そう…?俺には立派なラブレターのように見えたけど」