初恋グラフィティ
みぽりんもう来てるかなと思いながら音楽室に行くと、
CDがかかっているのか、音楽準備室の中からベートーベンの交響曲何番だかが流れてきた。
みぽりんに朝練の断りを入れておこうと思った私は、準備室へ続くドアの前に進んだ。
軽くノックしてドアノブに手を回す。
…が、
カギがかかっているのか、なぜかドアは開かなかった。
おかしいなあ…。
いつもならカギなんてかかってないのに…。
再びドアノブを回し続けると、
中からオーケストラの音に混じってかすかに人の声が聞こえてきた。
〈…っ。ダメだって…!誰か来たらどうすんの…?〉
〈大丈夫、ちゃんとカギかけてるし…。な…、いいだろ…?〉
それはみぽりんと、聞き慣れない男性の声だった。