初恋グラフィティ
気がついたら私は音楽室を飛び出して、普段は出入り禁止と言われている屋上に上がっていた。
深呼吸して、呼吸をゆっくり整える。
きのう恭平さんにされたいやらしいことが頭をよぎった。
どうしてみんな、ああいうことをするのかな…。
そりゃ私だって、ユキちゃんとならしてみたいとは思わなくもないけど、
きのうの感じだと、エッチするってあんまり楽しいことじゃないよ…。
曇り空をぼーっと見上げていたら始業5分前のベルがうるさく鳴ったので、
仕方なく私は教室へ戻ることにした。
…けど、
授業が始まっても全てが身に入らず、先生達の話は上の空。
ハムスターの話からユキちゃんに近づくきっかけを得て、本当なら飛び上がりたいほど嬉しいはずなのに、
きのうから理解し難い大人の世界を知ってしまった私の脳は、ショックから活動を停止していた。