初恋グラフィティ
美容院に着くと、恭平さんは私が来るのを車の中で待っていた。
「寒かったでしょ?ほら、早く乗って」
恭平さんはそう言って、私を助手席に座らせた。
「ねえ、夕飯どっか食べに行く?」
「いえ、家で母が作って待ってるんで結構です」
恭平さんの言葉を軽く流すと、
「そう?じゃあ俺の家に行こうか」
彼はギアを入れ替え、アクセルを踏んだ。
「ちょっ…、すみません…!私どこかへ行かなくても、ユキちゃんの話だけ聞かせてもらえばそれで十分なんですけど…!」
あせる私をよそに、
「けど車の中じゃ何だし、とりあえずうちへ行こう?すぐそこだから」
恭平さんは車を少し走らせ、彼のアパートらしき建物の前でエンジンを止めた。