初恋グラフィティ
「着いたよ。降りて」
私は首を横に振った。
「降りません。降りたらまたひどいことされそうだし…」
「何だ、すっかり信用なくしちゃったな」
恭平さんはシートベルトを外しながら苦笑した。
「じゃあ今日は君が1番知りたいことを教えてあげるよ」
「え…?」
「幸男のことで、今君が1番知りたいことって何…?」
「私が1番知りたいこと…?」
「そう」
私は少し考えた。
「そう言われると、彼女がいるかどうかってことが1番知りたいかも…」
「へー」
恭平さんはにやっと笑った。
「けど、その答えがもし君を傷つけることになったらどうすんの…?それでも聞きたい…?」
「それは…」
私は再度考えて言った。
「それでも、やっぱり聞きたいです…」