初恋グラフィティ

「やっぱり…」




深いため息が出た。



私は泣きそうになるのをこらえながらたずねた。




「あの…、どんな人なんですか…?その…、ユキちゃんの彼女って…」




恭平さんは私の顔を覗き込むと、再びにやっと笑った。




「聞きたい…?」


「はい…」




私はうなずいた。




「でもさ、恋敵の話なんて聞いたってどうにもならなくない…?」


「けど、やっぱりユキちゃんがどんな女の人が好みなのか知りたいし…」




すると恭平さんは私の右腕を軽くたたいて言った。




「じゃあ、うちにあいつの彼女の写真があるから見ていく…?」




え…?




「ホントですか…?」


「ホントだよ」




恭平さんはまたしても不思議な笑顔を見せた。



< 50 / 393 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop