初恋グラフィティ

そんなある日のこと。


帰宅後、


自分の部屋に入ると、近所で有名なお菓子屋さんの菓子折りが机の上に置いてあった。




どうしたんだろ…?




私はキッチンへ行き、夕飯の支度をしていた母にたずねてみた。




「ねえ、あのお菓子何…?」


「え…?」


「私の部屋にあったお菓子、誰かが持ってきてくれたの…?」


「…ああ、それね」




母は笑って言った。




「あんたが帰ってくる前に、ユキちゃんが持ってきてくれたのよ」




え…?




「ユキちゃんが…?」


「うん…。何かハムスターをもらったお礼だとか言ってたけど…」


「うそ…」




私は顔と心があったかくなっていくのを感じた。




「あとでユキちゃんにお礼言っときなさいね」


「う…ん」



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