初恋グラフィティ
私はまた部屋に戻ると、もらったお菓子の箱を開けてみた。
四角い箱の中から、おいしそうな焼き菓子がたくさん顔を覗かせている。
ユキちゃんがどんな想いでこれを買ってきてくれたんだろうと思うと、胸がキュンとした。
私は携帯電話を手にすると、電話帳からユキちゃんの番号を選び出し、
すかさず通話ボタンを押していた。
〈はい…〉
電話で聞く声は、本人のものと違うような気がしてあせった。
「あ…、あの…、ユキちゃん…?」
〈志保…?〉
「うん…。夕飯どきにごめんね…。今ちょっと話しても大丈夫…?」
〈別にいいけど…〉
久々に聞くユキちゃんの声。
嬉しかったけど、最後に会った日のことを思うとやっぱりきまりが悪くて、心臓がバクバク言った。