初恋グラフィティ
「あの…、こないだはごめんね…」
私がそう言うと、ユキちゃんは少ししてからああと言った。
「今日もうちに来てくれたんだってね…。ごめんね、ハムスターごときでお菓子なんかもらっちゃって…」
〈あー、いいの、いいの…。志保にはいろいろ心配かけたしね…〉
「え…?」
意外にもユキちゃんは電話機の向こうで笑っていた。
〈ほら、実穂の話だよ…。志保、あいつに他にも付き合ってるヤツがいるとか言ってただろ…?〉
「あ…、うん…」
恥ずかしい過去が目の前に蘇る。
〈あの話、やっぱ本当だったみたいでさ…。実穂にはこないだ振られちゃったよ〉
「え…?そうなの…?」
私はいかにも初めて聞きましたという感じで答えた。