Xmas Gift ~聖なる夜に~
一昨年のイヴは、私がこのバーの扉を開けると、すでに菖人の姿があった。
共通の友人が夏にバーベキューに誘ってくれたのだけれど、そこに菖人も来ていて、そのときには彼女がいると言っていたのに。
私たちは年に二・三度くらいしか会わないので、彼の恋愛事情はよく知らないし、情報も伝わってはこない。
ただ、イヴにここにいるということは、幸せそうだった夏から事情が変わってしまったのだろうと想像がついた。
この日は私が菖人の話を聞いて慰める役だと覚悟したが、彼の傷口はすでに塞がっていたようだった。
たわいもない会話をしてお酒を楽しみ、来年のクリスマスこそは恋人とデートだ! と意気込んで別れた。
だけど、そこから一年経った昨年のイヴも私と菖人はこのバーにいた。
そして今年。
来ないかもしれない相手を期待しないで待ちつつ、ドキドキするのも悪くなかった。
なんとなく、今日も会えるような気がしていたから。
「俺たち、結局毎年ここで飲んでるな」
「私は……今年はデートのはず? だったのに」
「ん? 彼氏いたの?」
私は苦笑いの笑みをたたえ、バッグからスマホを取り出して指を動かす。
とあるSNSの投稿画面を、隣にいる菖人に見せた。
共通の友人が夏にバーベキューに誘ってくれたのだけれど、そこに菖人も来ていて、そのときには彼女がいると言っていたのに。
私たちは年に二・三度くらいしか会わないので、彼の恋愛事情はよく知らないし、情報も伝わってはこない。
ただ、イヴにここにいるということは、幸せそうだった夏から事情が変わってしまったのだろうと想像がついた。
この日は私が菖人の話を聞いて慰める役だと覚悟したが、彼の傷口はすでに塞がっていたようだった。
たわいもない会話をしてお酒を楽しみ、来年のクリスマスこそは恋人とデートだ! と意気込んで別れた。
だけど、そこから一年経った昨年のイヴも私と菖人はこのバーにいた。
そして今年。
来ないかもしれない相手を期待しないで待ちつつ、ドキドキするのも悪くなかった。
なんとなく、今日も会えるような気がしていたから。
「俺たち、結局毎年ここで飲んでるな」
「私は……今年はデートのはず? だったのに」
「ん? 彼氏いたの?」
私は苦笑いの笑みをたたえ、バッグからスマホを取り出して指を動かす。
とあるSNSの投稿画面を、隣にいる菖人に見せた。