Xmas Gift ~聖なる夜に~
「私、モテないからなぁ。もっとお嬢様風な服装とか上品なメイクに変えたほうが彼氏できるかな?」
私がおどけて自分の頬をつまんで引っ張れば、こちらにチラリと視線を寄こした菖人はあきれ顔だった。
「変えなくていいよ。無理しても仕方ないだろ」
「いずれ化けの皮が剝がれるよね」
「柊里は今のままで十分魅力的だ」
思いもよらない言葉が聞こえてきたせいで、ドキンと心臓が跳ね上がった。
慰めてくれただけだとわかってはいるけれど、女として褒められた気がして照れてしまう。
「急に褒めないで!」
「なんでだよ」
口を尖らせて文句を言う私に対し、菖人はしてやったりとばかりにニヤニヤと笑った。
薄暗い店内でも菖人の笑顔が綺麗だとわかる。グラスを持つ長い指もカッコいい。
「菖人はどうなの? 夏に会ったときはなにも言ってなかったけど」
私たちは今年の夏も共通の友人にグランピングに誘われて、そこで顔を合わせている。
その時点では菖人に彼女はいないようだった。
考えてみれば、一昨年に恋人と別れてから彼の浮いた話は聞かない。私が知らないだけかもしれないけれど。