Xmas Gift ~聖なる夜に~
「誰かと付き合ったりは……ないなぁ」

「そっか」


 菖人はイケメンだしモテるだろうに。なぜ彼女がいないのか、もはやミステリーだ。


「あ、そうだ。これ……」


 おもむろに菖人がコートのポケットから小さな箱を取り出し、私に渡してくる。
 思わず受け取ってしまったが、それを間近で見ればプレゼント用に綺麗にラッピングされていた。


「え、クリスマスプレゼント?」

「どっちかというと、誕生日プレゼント」


 驚いて固まる私に、菖人は頬杖をつきながら微笑みかける。


「十二月二十四日、イヴは柊里の誕生日だろ。おめでとう」


 そう、今日は私の誕生日だ。イヴに生まれたので、父親が“柊”の漢字を名前に付けたらしい。

 ここ三年は菖人から「おめでとう」と言ってもらえていたけれど、プレゼントを貰うのは初めてで面食らってしまった。


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