The tear
クスクスと笑う声が、イヤホンをしていても空の中に入り込んでくる。空は制服のズボンを握り締め、泣きたくなるのを堪える。

傍観者であるクラスメート、そして同級生たちはいつもこうだ。自分たちがいじめのターゲットにならないよう、道化のように笑い、いじめっ子たちに従順でいるのだ。

空は中学三年生になってすぐ、隣のクラスの人間を中心にいじめられている。いじめっ子はもちろん、三年間同じクラスの友達も空のいじめに加担している。

手を差し伸べてほしいと思った人に指を刺された時、空の心は傷付けられて、泣いても泣いても涙が止まらなかった。

空がいじめられるようになった原因は、隣のクラスの人間が女子生徒をいじめているところを目撃し、「馬鹿なことをするのはやめろよ!」と止めたことがきっかけだった。

女子生徒を助けた翌日から、空の持ち物が隠されるようになり、クラスメートや友達から無視され、制服をボロボロにされたり、汚されたり、暴力を振るわれるといったいじめが始まったのだ。
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