The tear
そして担任はコーラでベタベタになった空を見て、呆れたような目を向ける。

「お前、そんなにジュースで制服をベタベタにするなんて幼稚園児か？保健室で着替えて来い」

何かあったのか、とは一言も聞かれずに冷たい目で見つめられる。クスクスと笑い声が聞こえ、空は俯いて教室を飛び出した。

廊下を走りながら、空の頬を涙が伝う。三年生になってから、受験や将来のことは一切考えられなくなった。毎日のようにいじめられ、涙を流して耐えるしかない。味方は誰もいない。誰にも言えない。

「……もう限界だ……」

何度死にたいと思っただろう。でも、いじめられるたびにただ死ぬだけでは足りないと空は感じるようになっていた。同じ痛み、涙、苦しみ、全てを味合わせてやろうと考えていた。

「殺してやる、アイツら全員！」

目をギラつかせ、空は涙を乱暴に拭う。空は知らない。今の自分の姿を人に見られているということを……。



それから数日、空は目をギラつかせながら登校していた。そのかばんの中には、ホームセンターで購入した包丁がある。
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