The tear

「これでアイツら全員を殺してやるんだ！」

傍観し続けるクラスメートも、いじめを見て見ぬふりをする担任も、いじめを平気で行う鈴木も、その取り巻きたちも、全員を殺すつもりである。

いつもよりずっと早い時間に学校へ向かい、待ち伏せをして一人ずつ殺していく。そういう計画を空は立てていた。

しかし、予想外のことというのは起きるもので、空が教室のドアを開けると、一人の女子生徒がいた。髪を一つに結び、大人しそうな雰囲気である。この生徒はーーー。

「紺野くん、今すぐやろうとしていることをやめて！人生がめちゃくちゃになっちゃうんだよ？」

「お前、誰だよ？」

「私、坂倉三葉（さかくらみつは）。紺野くんに助けてもらったの。覚えてる？」

「あんたを助けたせいで俺はいじめられて、毎日が苦しい。でも、どんなに苦しいって言ったところで誰も助けてはくれないんだ！」

三葉に苛立ち、空は目の前にあった机を蹴り飛ばす。三葉は肩をびくりと震わせたものの、まっすぐ空を見つめた。