・彼との関係

 見た目よりも筋肉質な腕。顔に反した、たくましい身体。たまに生意気なことを言う、可愛い男子生徒ではなく男なのだと実感させられてしまった。




「先……雪乃さん、俺じゃ雪乃さんの恋人には相応しくない?」


「だから……」


「あと少しで卒業だろ。今は、って時期を強調するなら。俺が卒業したらイイって意味でしょ?」


「……」




 答えられない。わたし自身、檜山くんへの気持ちに気づいてしまった時。いっぱい悩み、沢山迷って、諦めると決めて心に蓋をしたのに。




「雪乃、好きなんだ」


「呼びすてとか……しないでよ。困る」


「雪乃、好き。俺、雪乃が好き」


「だからっ」




 わたしだって、檜山くんのことが好きだと言いたい。素直に伝えても構わないなら言いたい。けど、言えないんだよ。

 今の状況では、誰からも祝福されない。

世間から非難されると分かっているのに、教師であるわたしが自ら破り君に教えるわけにはいかないのだから。


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