・彼との関係

 足元にポタポタと零れ落ちるのは、わたしの本心。決して口にしてはならない、わたしの本音。




「ごめんね。俺が好きにならなきゃ、雪乃を苦しめること無かったよな」


「……ちがっ」




 檜山くんの親指が私の目元に触れ、そっと零れ落ちていく涙を拭ったから。私の中で、抑えきれない感情が溢れ出して。

 檜山くんの気持ちに、応えていた。




「……隆弘、くん」


「え? え、今なんて言った?」


「隆弘……くんが卒業するのを、待っていてもいい?」


「ホントに?」


「でも、卒業するまでは今まで通り。教師と生徒、外でも会わない。それでいい? ……卒業するまで守ってくれる?」



 卒業して生徒と教師じゃなくなったら。と告げると、無邪気に嬉しそうな笑顔を向けて檜山くんは答えてくれた。




「やった! 雪乃大好き!」




 ギュッと抱きしめられ、不意打ち気味にキスの雨が降った。唇が触れては離れること数回。檜山くんの唇を拒否しようと右手で檜山くんの口元を塞ぐ。




「ちょっと! 早速、約束破るとか有り得ないんだけど?」


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