夏の風


丈流くんはあたしに顔を近付けてきた 


唇が重なる 


いつもみたいな深い…熱いキス 



ねぇ? 


丈流くん…


何度キスしても苦しいよ 


やっぱり…


やっぱり辛いよ 



あんな優里さんの話しを聞いた後だから余計辛い



丈流くんはきっと優里さんと別れたりしない 


だから、あたしがどんなに丈流くんを好きでも彼女には決してなれない 



何度キスをしても、幸せなのは今この時だけ



唇が離れれば切なさだけが残る 



じゃぁ…もう会うのやめる? 




それは…まだムリ 



あたしもバカだから会えるだけで良いの 



今は会えるだけで良い 



彼女になりたいなんてそんな贅沢思わない 



自分の身の程もわかってるから 






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