夏の風


「あ〜…多分、そろそろ皆集まる…かな」



「ふ〜ん…」



「俺…酒とか買いに行かなきゃなんねぇから、亜耶ちゃん先に入ってて…」


「うん…」



あたしは仕方なく一人でシンくんの家に入った 


いつも騒がしいシンくんの家が今日はやけに静か 


あたしはいつも通りシンくんの家のリビングに向かいドアを開けた 



そこには―――



そこにいたのは―――







川島先輩一人だった 



あたしはこの瞬間、全てを悟った 



絵文字もない不自然なサキのメール 


ヤスくんの不自然な態度 


シンくんの家の近くに止まっていた白い車 


玄関にあるはずなのに無かったサキの靴 



あたしは…まんまと罠にハマった 


丈流くんに会いたいだけだったのに 



その思いに付け込まれ、あたしは罠に落ちたんだ






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