夏の風


あたしの姿に気がついた陽斗が片手を上げ走って………



こない…



陽斗はタバコを吸いながら、ゆっくり歩いてあたしのもとへ来た



3時間以上待ったあたしに陽斗が言った言葉は…



「今日、寒くねぇ?」



の一言だった




「……そうだね…」



あたしは何とか笑顔で答えた



陽斗は二人分の切符を買い、全く悪びれた様子もなくあたしの手を握ると電車に乗り込んだ



すっかり夕方になってしまったというのに、予定通り電車で一時間かかる人気のショッピングビルに来た






< 176 / 279 >

この作品をシェア

pagetop