夏の風
あたしは何も言わずに電話を切った
優里さんの存在は丈流くんと過ごした一年間にも、見え隠れはしていた
ただそれをあたしが気付かない振りをしていただけ
優里さんの存在が消されていたのはあたしの中だけだった
もしかしたら、こんな日が来ることをわかっていたのかもしれない
わかっていて…あたしは何をしていたんだろう
夢を…夢を見ていたのかな
今、その夢から覚めたんだ…
涙が頬を伝う
あたしは橋の上から川を見下ろした
頬を伝った涙が川に落ちる
あたしはバックから手作りチョコを取り出すと、川に投げ入れた
―――丈流くんに届きますように
この川は丈流くんの地元に繋がっているから
丈流くんに…
あたしの最愛の人
この先もずっと…ずっと…愛してる
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