夏の風


走りだしたバイク 


丈流くんの大きな背中


丈流くんの匂い


頬に当たる夏の風


これだ…これら全てを感じて初めて丈流くんといるって実感できる 




あたしは丈流くんにつかまる手に力を込めた 




バイクが止まり、あたしは現実に引き戻された 



「どうした?降りるぞ」 


「あっ、うん。」



あたしがバイクから降りるとそこはシンくんの家ではなくいつかの酒屋さんだった 



「酒、買うぞ〜」


あたしは丈流くんに付いてお店に入った 


店内を見ると、レジには前にいた男の子ではなくボ〜ッとしたおばあちゃんが座っていた 


あたしは丈流くんのTシャツの裾を引っ張りながら 

「今日、あの人いないけど、お酒買えるの?」


と聞いてみた 






< 88 / 279 >

この作品をシェア

pagetop