夏の風


「ん?あぁ、あの婆さんボケてるから平気!」


「えっ?レジとか出来るの?」


「それが、金のことはしっかりしてるんだよ」


「へぇ〜…」


って、それってボケてるのかな? 


あたしは丈流くんのTシャツの裾を掴んだまま、丈流くんにずっとくっついていた 



レジにお酒を持って行くと、座っていたおばあちゃんが、すくっと立ちバーコードでピッピッとレジ打ちしだした 


「なっ?」


丈流くんがあたしを見ながら笑った 


「本当だねっ!」


あたしも丈流くんを見ながら笑った 


何かこんな何気ないやりとりがあたしには嬉しくて、夢を見ているみたいで、ずっとこのまま一緒にいたいと心から思った






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