夏の風
「いや…それはムリっす…」
丈流くんはあたしの肩を抱く手に力を入れた
「あぁ?なんでだよ?お前の女じゃないだろ?
それとも、優里ちゃんと別れられたのかよ?」
川島先輩は整った顔を崩しながら不適に笑った
「いえ…別れてません…」
「それじゃぁ、亜耶ちゃん可哀想だろ?二股は良くねぇよ。なぁ?」
川島先輩はあたしを見ながら笑った
その笑顔が怖くてあたしは丈流くんのTシャツをギュッと握った
「とりあえず、今日は勘弁してやって下さい。早く帰らないとならないみたいなんで…」
「そうか?じゃぁ、仕方ないな。
亜耶ちゃん、また今度な!」
「…はい」
またしてもあたしに向けられた笑顔に背筋がゾッとした