夏の風
丈流くんは小さな声で呟くとバイクに乗った
「ホラ、乗りな。送ってく」
「イヤ…まだ帰りたくない…」
あたしはこのまま離れたらもう二度と会えなくなる気がして精一杯の我が儘を言った
「…わかった。じゃぁ、駅じゃないところにとりあえず行こう。」
あたしは丈流くんの言葉に頷きバイクの後ろに乗った
バイクが着いたのはあの橋の下の土手だった
丈流くんはバイクから降りると土手に座った
あたしも丈流くんの隣に座った
「亜耶は…何か違うな」
「えっ?違うって…何が?」
「優里とも、他の女とも違う…純粋っていうのか?
あんまり、そういうのわかんねぇけど」
丈流くんは少し笑いながらあたしの顔を覗いた
「あたし、純粋…なの?」
「う…ん、だからかな?守ってやらないといけない気がする。
でも…俺にはそれが出来ない。
優里とは別れることができないからな…」
丈流くんは手元にあった小石を掴むと川に投げた