ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

しかも海外。結局私は伊緒くんと離れ離れになる運命だったんだ……って思ってたのに。

『海外? 行くわけねーじゃん』って、伊緒くんあっさり。

伊緒くんはひとりでこっちに残り、藤代高校へ通うと言ったんだ。


そしたらお母さんが『桃も残って伊緒くんと一緒に暮らす?』なんて、冗談とも本気とも取れないことを言いだして。

伊緒くんのお母さん……光莉(ひかり)さんも『いいわねえ。ふたりなら安心だし、電気代や水道代も半分にできるし、ちょうどいいじゃない』なんて言って。

あれよあれよと話は進んでしまった。


もう、目玉が飛び出そうなくらい驚いたよね。

まあ……藤代高校に通いたいし、伊緒くんを好きな私にとっては願ったり叶ったりのアイデア。

でも、いくら幼なじみだからって、年頃の男女が一緒に住むなんて、さすがにお父さんは反対すると思ったけど。


『伊緒くんが一緒なら安心だ!』

『伊緒、桃ちゃんをしっかり守るんだぞ』


……私と伊緒くんに限って、そんな心配は誰もしなかったみたい。
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