ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

あんなの、デカイ声で言ってみろ。しかも男の前で。


「改名って……もう6年呼んでるから今更ムリだよ」


色っぽい唇を尖らせたってだーめ。

そんなの俺が許さない。

モモの顔の横に手を伸ばし、壁に手をつく。

ビクッと身を縮めたモモに向かって、前かがみで問いかける。


「もしかして、アイツが"マシバ"?」

「えっ」

「そうだろ」


確信したように言うと、俺の目を見ながら控えめにこくんとうなずくモモ。

はああ、やっぱり。

あいつかよ。モモの髪に触れたり、可愛いとか薄軽い口たたいたり。

とんでもない男だ。
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