ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

15年間兄妹のように育ってきたわけで、まあ、今更って感じだよね。

見ての通り、伊緒くんにとって私はペットも同然で。

私はいつもひとりでドキドキしてるんだ。


「モモ―、まだー?」


階下から、伊緒くんの声。


「はあい、今行く~!」


やばいやばいっ、急がなきゃ。鏡の前でぼーっとしてる場合じゃなかった。

高校指定のカバンをつかんで、階段を下りて行く。

リビングには、お味噌汁のいい香りが漂っていた。


「今日の具はなあに?」

「豆腐となめこ」

「わあ、やったあ!」


私の喜びの声に、伊緒くんは嬉しそうに笑い、湯気のたったお椀を置いてくれる。

ほかには、炊き立ての白いごはんに鮭の塩焼きと卵焼き。これぞ、ザ・日本の朝ご飯。

朝も起きれなくて、ご飯もあまり作れない私とは大違い。

まるで主婦のかがみだよ。
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