ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「今年の七夕も晴れるといいね」


ウキウキしながら言ったら、伊緒くんはフッと鼻で笑って。


「知ってる? あの話ってすげえ美談化されてるけど、じつのところあのふたりは痛いカップルなんだよ」

「ええっ!? どういうこと?」

「ふたりでいちゃいちゃしてばっかで働かないから、怒った織姫の父親が川で挟んで引き裂いたって話。で、年に一度だけ会える日を作ったの。それが七夕」


う、うそ……。

ロマンチックな話が、一気に黒く塗りつぶされていく。

ショックを受けてる私の横で「あれはしし座かな」なーんて言ってる。


「……なんでそんな夢のないこと言うの」


むー、とむくれる私。


「夢なんて見てないで、もっと現実見たら?」

「え?」

「自分の心配でもしなよって言ってんの」
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