ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

伊緒くんは、3月の終わりに生まれる予定で、わたしはさらに翌年の4月に生まれる予定だったから、本当は2学年違いのはずだった。

それが、伊緒くんが4月。私が早まって3月になったことで、同学年になったというわけ。


「奇跡みたいだよね、ふふっ」


彫刻みたいに整った顔が、ゆっくり上がる。


「またなんか妄想してんの?」

「ううん、そうじゃなくて。私たちが奇跡の同級生になれたことを、思い返してたの」

「モモはどう? 同級生じゃない方がよかった?」


そう言われて考えてみる。

どっちにしても、家がお隣だから幼なじみにはなっていただろうし。

二つ違いだったら、憧れのお兄さん的存在で見てたのかなあ。
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