ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
ぐいぐいと押し付けてくる雑誌には、浴衣を着たモデルたちが紙面を飾っている。
浴衣って、ずいぶん気か早いんじゃねえの? 今まだ5月だけど。
「もしよかったら~、一緒に夏祭りとかどうかな~って」
たしか、姫野とか言ったか。
ばっちりメイクで作り物みたいな目が俺を射抜く。
……こわっ。
「俺は断然おとなっぽい系! これなんていいじゃん」
代わりに答えた瑛人は、雑誌を覗き込みながら真剣に考えているが、俺はまったく興味がない。
そもそも、一緒に夏祭りなんて行く気もないし。
俺が一緒に行きたいのはモモだけ。
盛り上がってる瑛人と女子を置いて、俺は亮介と教室を出た。
やって来たのは、購買。
自販で飲み物を買い、壁に背をつけてのどを潤す。
すると、いつの間に追いかけてきたのか、隣には瑛人。