ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

学校まで歩いて20分の道のりを並んで歩く。

穏やかな春の日差しに見守られて、サクラの枝がゆらゆら揺れている。

入学式日和だなあ。


「伊緒くん、桜をバックに写真撮ろうよ!」

「はあ? ただでさえ歩くのおせーのに、んなことしてたら遅刻するぞ」

「もうっ……!」


スタスタ歩いていく後ろ姿をちょっと膨れて見つめる。

ちょっとぐらいなら大丈夫だよね。

私はスマホを上に向けて、自撮りしようと試みた。


「あれ?」


なかなかうまくいかない。ぶれちゃうし、桜と顔の比率もアンバランスで全然うまく撮れないや。

もういいかな。諦めようとしたとき、


「ほら、貸してごらん」


ひょいっとスマホが取り上げられて、顔を上げた私に映ったのは、仕方ねえなって顔の伊緒くん。
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