ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

顔はヘラっとしているクセに、目だけはウソをついてなくて、一瞬言葉が出なくな
る。

俺がモモに言えないことを、当たり前のように口にすることがうらやましく思えたんだ。

好きだ。

この一言が言えたら、どんなにいいだろう。

言ったら、モモはどんな顔をする──?


「モモはお前にはなびかねえよ」


胸の内を悟られないように、語彙を強めた。


「どうかな、毎日言ってたら、気持ちが動かされることもあるし」

「飽きるだけだろ」


こんな幼稚なやり取り、自分で言っててもばからしくなってくるけど、ムキになってしまう。


「ほら、そこしゃべってないで集中しろ!」


チッ。

お前のせいで先生に注意されたじゃねえか。
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