ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「さーね」
壁に背をつけながら、Tシャツの胸元を引っ張って風を送り込む。
ってか、真柴のやつ。
このままじゃ俺の気が収まらず、体育館を出て行こうとした真柴の体操着の背中を
掴んで引っ張った。
「おっとっとと……暴力はんたーい」
「これのどこが暴力だってんだよ」
さんざんさっきは俺に体当たりしてきたくせに。
元はといえば、コイツが仕掛けてきたんだからな。
「伊緒くんこわい顔してどうしたの」
「……その呼び方やめろ」
どうしてこいつが俺のことを名前で呼ぶんだよ。
しかもくんづけ。
……気持ちわりぃ。
「だって、モモちゃんがそう呼んでるから」
「ついでにモモのことも名前で呼ぶな」
「どうして伊緒くんに言われないといけないんですかー。モモちゃんは俺の友達なんで。伊緒くんもそうでしょ? と・も・だ・ち・なんでしょ?」
友達を強調させる真柴。