ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「頑張ってね、伊緒くん」
「瑛人うるせーよ」
すっかり真柴のマネをして、くん付けで名前を呼ぶ瑛人に悪態をつき、手からボールを離した。
──スポッ。
よっしゃ!
モモはこの試合をはらはらしたように見守っていた。
4本終えたところでお互いノーミス。
「チッ」
決して簡単ではないはずなのに、真柴もなかなかやるな。
と思ったら。
ガンッ。
「あっ!」
真柴が5本目を外したのだ。
「あーーーーっ」
ギャラリーからも、ため息が漏れた。
よし。だけど、これはこれでプレッシャーがかかるな。
息を整えてから、モモを見ると。
モモの目が、「お願い、成功して」そう言っているように見えた。
「……ぜってぇ外すかよ」
俺は小さくうなずいて、ボールから手を離した。