ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「どうしたのー」
ポンと叩かれた肩に顔を上げれば、そこには美雪ちゃん。
「真っ黒いオーラでおおわれてるよ。ほらこのあたりっ」
私の周りを形どるように、指で大きく円を描く。
「みゆきちゃぁぁぁぁぁぁん……伊緒くんがアメリカに行っちゃうーーーーー」
「ええっ!? アメリカ? ど、どういうこと?」
さすがの美雪ちゃんも、目を白黒させる。
「伊緒くんがね、スタン……スタン……」
「なにそれ」
「そんな名前のアメリカの大学に行くんだってー」
ううっ。
言ったらさらに切なくなっちゃった。
「ええっ、もしかしてスタンフォード?」
「そう、それ!」
にっくき、スタンフォード!
どんな大学か知らないけど、伊緒くんをアメリカに連れて行こうとするなんて!
「まっさかー。いくら葉山でも無理でしょ。うちの学校の特進でもさすがにそこまでは、ははっ」
「伊緒くんをディスらないで」
「どっちなのよ」