ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

いつも入っているはずのところに手を突っ込んでも鍵の感触がなくて。

地面にカバンを置いて、中をのぞきこんだけど。


「やっぱない……!」


うそっ。

鍵忘れちゃった……?


「あっ!」


しかも大変なことを思い出した。

今日は伊緒くん、特別講座で帰りが遅いんだ。

ってことは、伊緒くんが帰ってくるまで、私家に入れないの……?


「うそぉ……」


二階の窓は……と見上げて諦める。

もし鍵が開いていたとしても、私に登れるだけの身体能力はないし。

落っこちてケガでするのが関の山。

大人しく伊緒くんの帰りを待っていた方がいいよね。


表で待っているのも不審な人になっちゃうし、庭の方へ回って、お父さん手作りの木のベンチに座ってスマホをポチポチいじってたんだけど。

まだ日が落ちる時間じゃないのに、だんだん空が暗くなってきた。

……嫌な予感。

と思ったら、すぐにそれはやって来た。
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