ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「ひえぇぇぇぇ……」


ザーザーザーザー。

いつかみたいな土砂降りの雨。

横殴りのそれは、軒に身をひそめている私にもガンガン降りかかってきて。

またしても折りたたみ傘をカバンに入れてなかった私は、それをモロに浴びて。

雨が去ったころには、全身びしょ濡れになってしまった。


「……くしゅんっ!」


寒くて冷たくて、踏んだり蹴ったり。

締め出しって、こんなにつらいんだ……。


「寒い……」


雨のせいで気温も下がり、濡れた体がさらに冷える。


「伊緒くん早く帰ってきてよ~……」


メッセージを送ろうとしたけど、今は、一生懸命勉強中だもんね。

スタン……スタンなんとかに向けて。

はぁ……こんなときに、また気分が落ちるようなことを思い出しちゃったよ。


結局、伊緒くんが帰って来たのは、日がとっぷり暮れてからだった。
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