ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「どしたの?」


びしょ濡れで外に突っ立つ私を見て、伊緒くんは目を丸くして驚く。


「鍵を忘れてしまいまして……」


またおバカだって思われちゃう。

小さな声でぽつりとつぶやけば。

迷子の子犬を憐れむ様な目で私を見て、


「てか、傘は?」

「だって、朝あんなに晴れてたのに雨が降るなんて思わないもん……」

「17年生きててその発想が生まれるってある意味尊敬するレベル。夕立とかゲ
リラ豪雨って、誰もが知ってる言葉だと思ってたの俺だけ?」

「うっ……」


どっちも知ってます。

しかも。

この間のゲリラ豪雨の時も傘を持ってなくて伊緒くんに入れてもらったばかり。
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