ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「いーや、俺はまだ鍵を開けてない」

「へ?」


どういうこと?


「今朝さ、モモどうやって家を出た?」

「えーっと」


斜め上を見上げて、朝のことを思い返す。

たしか、先に家を出てしまった伊緒くんを追いかけて……ってことは、私があとに家をでた……?


「あ、れ……?」


じゃあ、誰が鍵を……

はて。

首をかしげながら、ゆっくり伊緒くんを見上げると、


「ばーーーーーーか」


優しいげんこつが降って来た。

頭の上に、こつん、て。


あっ!


「……はじめから、鍵はしまってなかった……?」


うそっ!

いつも、伊緒くんが私の後に出ることが多かったから、鍵を閉めるってことをわすれちゃったんだ!


「ほんとにモモって……」


はあ……と盛大にため息を吐く伊緒くんは、ドアを開けて私を中へ押し込むとすぐにドアを閉めて、私をぎゅっと抱きしめた。
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