ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「い、伊緒くん……?」

「寒かったでしょ。俺があっためてあげる」


そう言って、私を抱きしめ続ける。


どくんっ……!

心臓はもう大あばれ。

やっ、だけどドキドキしてる場合じゃない。


「伊緒くんが、濡れちゃう……っ」


だって、私びしょびしょだもん。

体を離そうとすると、それを許さないかのように、もっときつくホールドされる体。

……伊緒くん……?


「いーよ、そんなの」


覆われた体の中で、聞こえる伊緒くんの声。

そんなこと言われたら……。

私、頭のなかがお花畑だから、都合よく考えちゃうよ?

伊緒くんが何を考えてこうしているのかわからないけど。

私にとってはご褒美でしかないこの行動に、されるがままになっていた。
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