ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

***

「え~、そうなんですね~! あはははは~」


その日の夜。

伊緒くんがお風呂に入っちゃって、ひとりでリビングでテレビを見ていたら、ブーンブーンとスマホが振動して。

私のじゃなくて伊緒くんの。

誰かから着信みたいで、一度切れてまた鳴ったの。

人のスマホをのぞくのはよくないけど、あまりにしつこく鳴るから急用だったら困ると思って覗いたら、そこには「母」の表示。


「母って……」


なんてシンプルな。

まあ、お母さんには変わりないから「母」で間違ってないけどさ。

お母さんだったら、私もよく知ってるから要件だけ聞こうと思って、


「もしもし、光莉さん?」


私が出たらすごく喜んでくれて。

国際電話ってことも忘れて話が弾んじゃったんだ。
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