ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「だから、光莉さんだよ」

「それ、もしかして俺の母親だよね?」


伊緒くんが眉をひそめる。


「うん、もしかしなくてもそうだよ」


光莉さんって言ったら、伊緒くんのお母さんしかいないのに。


「はあ……しんじらんない……つうか、それ俺のスマホじゃん!!」


私が持ってるスマホを指さして、大声をあげる。


「あっ、そうそう。ごめんね。だって、何度も鳴るし伊緒くんお風呂だし、海外からだから急用だったら大変だと思って」

「……で、急用だったの?」

「うん? ……でもないような……」


まあ、近況を聞かれただけだし。あとは、いつものようにただのおしゃべりだったし。


「だよな……俺に代わってねーんだもん」


はーってため息をつきながら、隣に座ってスマホを奪い取る。


「うわっ、35分て。人の親とよくそんな長話し出来るよなあ」
< 215 / 298 >

この作品をシェア

pagetop