ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。
「だから、光莉さんだよ」
「それ、もしかして俺の母親だよね?」
伊緒くんが眉をひそめる。
「うん、もしかしなくてもそうだよ」
光莉さんって言ったら、伊緒くんのお母さんしかいないのに。
「はあ……しんじらんない……つうか、それ俺のスマホじゃん!!」
私が持ってるスマホを指さして、大声をあげる。
「あっ、そうそう。ごめんね。だって、何度も鳴るし伊緒くんお風呂だし、海外からだから急用だったら大変だと思って」
「……で、急用だったの?」
「うん? ……でもないような……」
まあ、近況を聞かれただけだし。あとは、いつものようにただのおしゃべりだったし。
「だよな……俺に代わってねーんだもん」
はーってため息をつきながら、隣に座ってスマホを奪い取る。
「うわっ、35分て。人の親とよくそんな長話し出来るよなあ」