ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

それからすぐに出かける支度をして家を出た。

行先は、電車で3駅の大型ショッピングモールに決定。


「早く行くよ。モモのペースで歩いてたら日が暮れる」


伊緒くんはそう言うと、私の手を取って引っ張るように歩いていく。

手をつなぐ……なんて甘いものとは違う。

これ、リードにつながれた犬だよ。

やっぱり私はペット?


「ほんと伊緒くんって、シュンくんみたい」


ぽつりとつぶやけば。

振り返って足を止めた伊緒くんの全身に、不穏な影が見えた。


「え……あの」


不吉なオーラに、なにかいけないことを言っちゃったのかと口をつぐむ。


「……それ、言わないで」

「う、うん……?」


伊緒くんの前で、シュンくんの話は禁句みたい。


「それはそうと、何を買うの?」


私を連れて買い物なんて。
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