ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

「あ……あの映画、一緒に見たら99%恋が成就するって言われてるやつで」


それでも、ダメ押しで映画の宣伝文句を口にしたら、


「なんだそれ? そんな迷信信じてんの? てか、そうやって集客しようとかやり方エグいなー」


余計に見る気を失わせちゃったみたい。

そうだよね。私との恋を成就させる気のない伊緒くんには、そんなの関係ないもんね。

私は笑ってごまかした。


「はははっ、だよねー。じつはね、真柴くんに見に行こうって言われて───っ!? ええっ、伊緒くんっ!?」


そんな話をしていたら、急に私の手を引っ張っるから、足がつんのめっちゃう。

そのまま映画館の中へ入ると、伊緒くんは機械を操作してチケットを発券して。


「ちょうど始まるな」

「え? え?」


あれよあれよという間に場内に入っちゃう。


「はい」


渡されたチケットを見ると。

なんと!

私が見たかったあの例の映画だった。
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