ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

でも、途中ある事実がわかってから、私はだんだん落ち着かなくなっていた。

映画について内容を何も知らなかったのを、こんなに後悔したことはなかった。

ヒロインがヒーローに言う。


『雅樹《まさき》が私に構ってくれるのは、腕にある傷のせいなの?』


そう。

ヒロインは、昔ヒーローがふざけて火遊びをしたせいで腕にヤケドを負ってしまって。

半袖になると見えてしまうその傷痕を気にして、ヒーローが「俺が責任を取る」そう言って、ずっとそばに居たのだ。


……それが、まるで私と伊緒くんのようで。


伊緒くんは言葉にはしないけど、気にしてるのは知ってる。

いつだって、私のおでこの傷を確認して。

私に触れてくるのは、それを確認するためだと思うんだ。

もしかして。

伊緒くんも責任を感じて、私のそばに居てくれてるの……?

考えないようにしてたのに、この映画のせいでその想いがより強くなってくる。

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