ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

あれ?

伊緒くんにしてはめずらしく寛容だ。


「そんでお土産にもお菓子買うんでしょ? モモのバッグ、もうお菓子だらけになるんじゃないの?」

「すごい伊緒くん、よくわかったね!」

「……俺を誰だと思ってんの?」


そう言われて悪い気はしない。

私のことをよくわかってくれてる証拠だから。


「それに、チェックするところがおかしいよ。トランプにおやつって……。ちゃんとジャージは入れたの? 靴下やTシャツは?」


そういう伊緒くんの準備は完ぺきみたいで、もうバッグの口は閉まっている。

一方、私はまだバッグの周りにこれから入れるものたちが広がっていた。


「うん、大丈夫だよ」

「タオルは?」

「あっ、そうだった!」


旅館やホテルと違って、タオルは自分で持って行かないとなんだ!

パチン、と手を叩いて洗面所へ走る。
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